家庭で実践！デジタルデバイスを置かない場所と時間の具体的な決め方
現代の家庭において、デジタルデバイスは私たちの生活に深く根ざしています。便利さや情報の入手、コミュニケーションツールとして欠かせない一方で、その利用時間や利用方法について、悩みを抱える親御さんも少なくありません。特に小さなお子様がいるご家庭では、お子様のデジタル利用時間が増えすぎているのではないか、自分自身のスマホ利用が家族との時間を侵食していないか、といった懸念を抱えている方もいらっしゃるかと思います。
このような状況の中で、家族みんながデジタルと上手に付き合い、心身ともに健康で豊かな時間を過ごすためには、意識的にデジタルデバイスから離れる時間や場所を作ることが有効な方法の一つです。この記事では、家庭で実践できる「デジタルデバイスを置かない場所と時間」を家族で具体的に決めるためのヒントをご紹介します。
なぜ「デジタルデバイスを置かない場所・時間」を決めることが大切なのか
「デジタルデバイスを置かない場所・時間」を設定することは、単に利用時間を制限すること以上の効果が期待できます。
- 集中力の向上: 特定の時間・場所でデバイスから離れることで、「ながら利用」を防ぎ、目の前の活動（食事、会話、勉強など）に集中できるようになります。
- 家族間のコミュニケーション促進: デバイスがない時間・場所では、自然と家族の顔を見て話す機会が増え、会話が弾みやすくなります。
- 心身のリフレッシュ: 通知や情報から一時的に解放されることで、脳や目の休息につながり、リラックス効果が得られます。
- 規則正しい生活習慣の確立: 特定の時間をデジタルから離れる時間に充てることで、生活にメリハリが生まれます。
これらのメリットは、お子様だけでなく、親御さん自身の生活の質を高めることにもつながります。
家族で「置かない場所・時間」を話し合って決めるステップ
具体的なルール設定は、家族で話し合って決めることが成功の鍵となります。一方的に押し付けるのではなく、みんなで納得して取り組むためのステップをご紹介します。
ステップ1：話し合いの機会を持つ
まずは、家族で落ち着いて話し合える時間と場所を設けましょう。食卓での夕食後や、週末の午前中など、家族が集まりやすい時間帯を選ぶのがおすすめです。
ステップ2：現状のデジタル利用状況を共有する
家族それぞれが、普段どのようにデジタルデバイスを使っているかを正直に話し合ってみましょう。「どんな時に、どのくらいの時間使っているか」「使っていて楽しいこと、困っていること」などを共有することで、お互いの状況を理解しやすくなります。親御さんも、ご自身のスマホ利用についてお子様に話してみると良いでしょう。
ステップ3：なぜルールが必要か共通認識を持つ
なぜ「デジタルデバイスを置かない場所・時間」を決めたいのか、その目的を共有します。「家族で楽しく話す時間を増やしたい」「夜はぐっすり眠りたい」「宿題にもっと集中したい」など、具体的な理由を伝えると、お子様も納得しやすくなります。単に「使いすぎはダメ」と伝えるよりも、「〜のために」という目的意識を持つことが大切です。
ステップ4：具体的な「置かない場所」を決める
話し合いを通して、家族でデジタルデバイスを持ち込まない、あるいは使わない場所を具体的に決めます。
- 食卓: 最も効果的な場所の一つです。食事中は全員がデバイスを使わないルールにすることで、会話に集中し、食事そのものを味わうことができます。
- 寝室: 就寝前のデバイス利用は睡眠の質を低下させると言われています。寝室への持ち込みを禁止したり、寝る1時間前からは使わないといったルールは、質の良い睡眠のために非常に有効です。
- リビングの一部: 家族が一緒に過ごす時間帯は、ソファの上では使わない、特定の時間帯はリビングでは使わないなど、共有スペースでのルールを設ける方法があります。
- 特定の「置き場所」を決める: 玄関やリビングの一角など、家族全員のデジタルデバイスを置く場所を物理的に決めてしまうのも一つの方法です。充電ステーションなどをそこにまとめて設置するのも良いでしょう。
どの場所を「置かない場所」にするか、家族のライフスタイルに合わせて無理のない範囲で決めましょう。まずは一つか二つの場所から試してみるのも良い方法です。
ステップ5：具体的な「置かない時間」を決める
特定の場所だけでなく、時間帯でデジタルデバイスを使わないルールを設定します。
- 食事の時間: 朝食、昼食、夕食の時間帯など、毎日の習慣として設定します。
- 特定の家族時間: 「平日の夕食後からお風呂までの時間」「週末の午前中の2時間」など、家族で一緒に過ごす予定の時間帯を「デジタルフリータイム」と決めます。
- 寝る前の時間: 就寝時間の〇時間前からはデジタルデバイスを使わない、と具体的に時間を決めます。例えば、「夜9時以降はスマホ、タブレットは使わない」などです。
- 特定の活動中の時間: 「宿題をしている間」「お風呂に入っている間」など、他の活動に集中したい時間を「置かない時間」と設定することも効果的です。
時間の設定も、最初から厳格にするのではなく、まずは短い時間から始めて、徐々に広げていくことも可能です。
ステップ6：決めたルールを可視化する
話し合って決めた「デジタルデバイスを置かない場所・時間」のルールを、紙に書いて家族みんなが見える場所に貼り出しましょう。リビングの壁や冷蔵庫など、日常的に目にする場所が良いでしょう。ルールを文章だけでなく、絵やイラストで表現するのも、お子様にとって分かりやすくなります。
親自身のスマホ利用も見直すことの大切さ
デジタルデトックスに取り組む上で、親御さん自身が率先して取り組む姿勢を見せることが非常に重要です。「子供にはルールを守らせるけれど、親は自由に使う」という姿勢では、お子様は納得しにくくなります。
親御さん自身も、今回家族で決めた「置かない場所・時間」のルールを守ることはもちろん、ご自身のデジタル利用についても見直してみましょう。
- 通知オフ: 必要のないアプリの通知はオフに設定し、不必要な割り込みを減らしましょう。
- 利用時間の記録: スマートフォンの機能やアプリを使って、ご自身の利用時間を把握してみましょう。客観的に自分の利用状況を知ることは、見直しの第一歩となります。
- 「つい見てしまう」場所を変える: 例えば、ベッドサイドではなく、リビングに置いて寝室に持ち込まないようにするなど、物理的にアクセスしにくい場所に置くことも有効です。
親御さんがデジタルとの健全な距離感を実践している姿は、お子様にとって何よりの教育となります。
デジタル以外の代替活動を楽しむ
デジタルデバイスを使わない時間や場所で、何をして過ごすかを具体的に考えることも、デジタルデトックスを前向きに進める上で大切です。
- 家族みんなで楽しめる活動: トランプやボードゲーム、かるた、お絵かき、粘土遊びなど、電源を使わない昔ながらの遊びは、家族間のコミュニケーションを深めるのに最適です。
- 体を動かす活動: 近所を散歩する、公園で遊ぶ、室内で簡単な体操をするなど、体を動かす時間は気分転換にもなります。
- 読書: 家族それぞれが好きな本を読む時間を作るのも良いでしょう。読み聞かせも素敵な家族の時間になります。
- お手伝い: 料理の準備や後片付け、洗濯物を畳むなど、お子様にお手伝いを頼む時間にするのも良いアイデアです。一緒に作業することで、親子の会話も生まれます。
- 趣味や好きなこと: 家族それぞれが自分の趣味や好きなことに没頭する時間（絵を描く、楽器を演奏する、工作をするなど）も大切にしましょう。
「デジタルがないと暇」と感じないように、事前にどんなことをして過ごすか、いくつか候補を考えておくとスムーズです。
ルールを守るための声かけと習慣化のヒント
決めたルールを家族みんなで守り、習慣にしていくためには、工夫が必要です。
- 肯定的な声かけ: ルールが守れた時には、「〇〇くん、食卓でスマホを使わないでいられてすごいね！」「△△ちゃんのおかげで、家族みんなでゆっくりご飯が食べられるよ、ありがとう」など、具体的に褒める声かけをすることで、お子様のモチベーションにつながります。
- なぜダメなのか丁寧に説明: もしルールが守れなかった場合は、頭ごなしに叱るのではなく、「なぜこの時間にデジタルを使ってはいけないのか」を、決めた時の理由（ステップ3で話し合った内容）に立ち返って丁寧に説明することが大切です。感情的にならず、落ち着いて話しましょう。
- 完璧を目指さない: 最初から全てのルールを完璧に守ることは難しいかもしれません。うまくいかないことがあっても、お互いを責めるのではなく、「どうしたらもっとうまくいくかな？」と前向きに話し合う機会を持ちましょう。
- 定期的な見直し: 一度決めたルールも、家族の成長や生活スタイルの変化に合わせて見直すことが大切です。定期的に（数ヶ月に一度など）家族会議を開き、ルールの状況や感じていることについて話し合ってみましょう。
デジタルデトックスは、家族全員で協力して取り組むプロジェクトです。うまくいかない時があっても、諦めずに、根気強く、そして楽しみながら取り組むことが大切です。
まとめ
家庭でのデジタルデトックスにおいて、「デジタルデバイスを置かない場所と時間」を具体的に設定することは、家族のコミュニケーションを深め、心身のリフレッシュを促す有効な手段です。
今回ご紹介したステップを参考に、ぜひご家庭で話し合いの機会を持ってみてください。食卓や寝室など具体的な場所を決めること、食事の時間や寝る前など具体的な時間を決めること、そして親御さん自身も一緒に取り組む姿勢を見せることが重要です。
デジタルデトックスは、一時的な取り組みではなく、家族みんながデジタルとバランス良く付き合っていくための継続的なプロセスです。完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ、家族のペースで取り組みを進めてみましょう。この取り組みを通して、ご家庭でより豊かで温かい時間を過ごせるようになることを願っています。