子供の「もっとやりたい!」どう対応する?デジタル利用ルール反発時の具体的な声かけとヒント
なぜルールを決めても子供は反発するのでしょうか?
ご家庭でデジタル利用のルールを決め、時間を区切って利用しているものの、「もっとやりたい!」「まだ遊びたい!」と子供が反発してしまい、困っているというお話をよく伺います。せっかく家族で話し合って決めたルールなのに、守らせるのがこんなに大変だと、ついイライラしてしまったり、諦めてしまったりすることもあるかもしれません。
なぜ、子供たちはデジタル利用の制限に強く反発することがあるのでしょうか。主に小学校低学年のお子さんの場合、以下のような理由が考えられます。
- デジタルコンテンツの強い魅力: ゲームや動画は、子供の興味を引きつけ、強い楽しさや達成感、満足感を与えます。その楽しさから離れるのは、大人にとっても難しいことです。
- 時間感覚の違い: 子供はまだ大人と同じように時間や見通しを立てることが苦手です。「あと5分」と言われても、それがどれくらいの時間なのか、遊んでいることの区切りをどうつけるのかを理解しにくい場合があります。
- 衝動性の高さ: やりたい気持ちや楽しいという感情を抑える力が、まだ十分に発達していません。そのため、「やめなくてはいけない」と頭で理解しても、感情や衝動をコントロールするのが難しいのです。
このような子供の発達段階やデジタルの特性を理解することは、ルールを守らせる上で親が冷静に対応するための第一歩となります。この記事では、子供がルールを守れない、あるいは反発した際に、親がどのように声かけをし、どのように対応すれば良いのか、具体的な方法とヒントをご紹介します。
デジタル利用のルール反発時、親ができる具体的な声かけと対応
子供がデジタル利用の終了時間になったにも関わらず、「もっとやりたい!」と反発したり、ルールを守らなかったりする場面は、多くのご家庭で起こり得ます。そのような時に、どのように対応すれば良いのでしょうか。感情的にならず、穏やかに、しかし毅然と伝えるための具体的な声かけや行動をご紹介します。
終了時間のアナウンスを工夫する
突然「もう終わり!」と伝えるのではなく、事前に終わりが近いことを知らせることで、子供は心の準備をしやすくなります。
- 終了時間の少し前に声をかける:
- 「(タイマーを指さしながら、または時計を見ながら)あと5分でデジタルタイムはおしまいだよ。」
- 「このステージが終わったら、今日のデジタルはおしまいにしようね。」
- ポイントは、終わりの時間を具体的に、子供に分かりやすい形で示すことです。残り時間を視覚的に示せるタイマー(砂時計やキッチンタイマーなど)を活用するのも効果的です。
- 終了時間になったら:
- 「時間になったね。今日のデジタルタイムはここまでです。ありがとう。」
- 「(デバイスの電源を切るなど、一緒に終わりの動作をしながら)おしまい。よく頑張ったね。」
- 感謝や労いの言葉を添えることで、一方的な「取り上げ」という印象を和らげることができます。
「もっとやりたい!」への共感と代替案の提示
子供の「もっとやりたい!」という気持ちは、楽しい気持ちの表れです。その気持ちを受け止めつつ、次に繋げる声かけを意識します。
- 気持ちに共感する:
- 「もっと遊びたい気持ち、よく分かるよ。とっても楽しいもんね。」
- 「あと少しできたかったね。」
- まずは子供の感情を否定せず、寄り添う姿勢を見せることが大切です。
- 代替となる次の活動を提案する:
- 「デジタルタイムはおしまいだけど、この後は〇〇(例:一緒に絵本を読む、お外で遊ぶ、おやつを食べる、ブロックをする)をしようか。」
- 「この続きは明日のデジタルタイムにできるね。明日が楽しみだね。」
- デジタル以外の楽しい活動を用意しておくこと、そして次の利用への見通しを持たせることは、子供の気持ちを切り替えやすくする助けになります。
ルールが守れなかった場合の冷静な対応
ルールを守らなかったり、激しく反発したりした場合は、感情的に叱るのではなく、冷静に、そして毅然と対応することが重要です。
- まずはクールダウン:
- 子供が泣いたり叫んだりして感情的になっている時は、その場で説得しようとしても難しいことが多いです。「少し落ち着こうね」「お部屋を分けて少し休もうか」などと提案し、物理的に距離を置くなどして、お互いに冷静になる時間を作りましょう。
- 冷静になってからルールを確認する:
- 落ち着いてから、「デジタルは1日〇分って、一緒に決めたよね。」「お約束の時間になったらおしまいにするって、お話したよね。」と、決めたルールを短い言葉で改めて確認します。なぜそのルールがあるのか(例:目を休めるため、他のことも楽しむため)も、簡潔に伝えます。
- 毅然とした態度を示す:
- 子供の反発や要求に折れて時間延長を繰り返すと、「泣いたり駄々をこねたりすればルールを変えられる」と学習してしまいます。一度決めたルールについては、感情的にならずに、しかし譲らないという毅然とした態度で対応することが重要です。
- 親自身の感情コントロール:
- 子供の反発に直面すると、親もついイライラしたり、怒鳴ってしまったりすることがあります。深呼吸をする、一時的にその場を離れるなど、親自身が感情をコントロールするための工夫も必要です。
反発を減らすための「予防策」
反発が起きた時の対応も大切ですが、そもそも反発が起こりにくい環境や関係性を作ることも重要です。
- ルール決めへの子供の参加:
- 一方的に親がルールを決めるのではなく、「1日にどれくらいならデジタルをしてもいいと思う?」「どんなルールがあると良いかな?」などと子供にも意見を聞きながら、一緒にルールを決めると、「自分で決めたこと」という意識が芽生え、受け入れやすくなります。
- ルールを守れた時に褒める:
- ルールを守れなかった時だけでなく、時間になったらスムーズにやめられた時など、「時間になったらきちんとおしまいにできたね!素晴らしいね。」と具体的に褒めることで、良い行動を強化します。
- 代替活動の魅力を高める:
- デジタル以外の遊びや家族で一緒に過ごす時間を楽しいものにすることで、デジタルから離れた時の満足感を得られるようにします。外遊び、室内でのボードゲーム、工作、読書など、様々な選択肢を用意してみましょう。
- 親自身のデジタル利用態度:
- 子供は親の行動をよく見ています。親自身が四六時中スマホを触っているような状況では、子供に「やめなさい」と言っても説得力がありません。親自身も利用時間を意識し、子供との時間にはスマホを触らないなど、模範となる態度を示すことが大切です。
焦らず、根気強く、そして前向きに
子供がデジタル利用のルールを守れず反発する場面への対応は、簡単なことではありません。一度や二度うまくいかなくても、自分を責める必要はありません。大切なのは、「完璧にルールを守らせる」ことだけを目指すのではなく、子供の成長をサポートしながら、デジタルとのバランスの取れた付き合い方を「親子で一緒に」探していく過程です。
今回ご紹介した声かけや対応策を参考に、ご家庭に合った方法を試してみてください。時にはうまくいかないこともあるでしょう。しかし、根気強く、そして何よりも子供への愛情を持って向き合い続けることで、少しずつ状況は良い方向へと向かうはずです。親子で共にデジタルとの健全な関係性を築いていく一歩として、この記事がその助けとなれば幸いです。